第21話 北の悪役・南のヌーディスト
訪れたのはハワイ島のヒロ。島の反対側のコナは観光客でにぎわっているけれど、ヒロはしっとりと静かな町だ。ヒロミさんはネイチャー系を得意とする編集者だけあって、海遊びのテイストが我が家とマッチ。まず案内してくれたのが、大きな潮だまりであった。
ハワイ島は活火山の島なので、あちこちで温泉がわいている。地元の子連れでにぎわうこの潮だまりも温泉がわいていて少し温かい。魚もちゃんといるので、子連れシュノーケリングにもってこいの場所だ。
ヒロミさん一家(ヒロミさん、夫のフェレさん、娘のMikiちゃん)と我が家で、一日中ゆったりのんびり楽しんだ。


次の日に案内してくれたのも「地元の、しかも限られた人しか来ない」という、Nさんとっておきの海辺。
「70年代に全盛だったフラワーチルドレン(ヒッピーともいう)がハワイ島に住み着いていて、その人たちの憩いの場なんですよ」とヒロミさん。
メインストリートから外れた道を車でしばらく行くと、なんてことのない道ばたで車を止めた。下が崖になっていて、エッチラオッチラ下りてゆくとこぢんまりとした海岸があった。
こんな場所でも結構人がいるなあ…あ、あれれ? は、はだか!?
そう、ヌーディストビーチだったんである。お、おもしろいじゃないか!
フェレさんととーちゃんはさっそくダイビング器財を着けて、海に潜っていった。
私とヒロミさんは砂浜にくつろぐためのシートを広げる。
ハッと気がつくと、水着を着ていたはずのMikiちゃんと娘、いつのまにかスッポンポンになって波打ち際ではしゃいでいる。こ、子どもって順応性があることよなあ…と妙に感心してしまった。
ヌーディストビーチといっても、ほとんどがフラワーチルドレン世代。はっきり言って目の保養にはほど遠い。でも、なかには、少人数だけど二世とおぼしき若い人も。
地元の子どもたちに混じって遊ぶ娘たちを見守っていたら、ひとりの子のお父さんがやってきた。金髪をなびかせる若いパパは、やはりスッポンポン。目が合うとニッコリ笑う。思わず視線がそのまま下に移動してしまう。目の保養…かも。

シートでおやつを食べていたら、ティーンエイジャーの女の子たちがやってきてすぐ後ろに陣取った。
「ハーイ、どこから来たの?」
「日本よ」
「そう! 楽しんでね」
挨拶を交わしたあと静かになった。
しばらくすると、煙のにおいが漂ってきた。どうも、イケナイものをキメテいる模様。
子どもたちに影響ないかなと思っていたら、ひげモジャの貫禄あるおじいさん(もちろんスッポンポン)がやってきて、彼女たちを叱った。
「おめーら、お客さんの近くでそんなもんやるんじゃない」
その子たちはパッと散った。
ひげモジャおじいさんは肩に極彩色の大きなオウムをとまらせている。
オウムと一緒にゆるゆると仲間のいる場所に戻っていった。
そこでは、おじいさんと同じ世代の男女が円陣をつくってあぐらをかき、天を仰いで瞑想中(スッポンポンであぐらってどうよ…)。
人って年取ると、お腹とか背中とかおっぱいとか、そのたもろもろ、いろんな場所が垂れてくるのだなあと思っていたら、向こうの海からフェレさんととーちゃんがあがってきた。
肌色の人々のなかで、タンクを背負ったウエットスーツ姿のふたりはかなり目立つ。
「パッパー!」とふたりの娘がスッポンポンで駈けてゆく。
「世の中ってなんでもアリなんだなあ。自由だなあ」と、なんだか愉快になってきた。
今まで海外に出かけても海中しか眼中になかったけれど、子連れinハワイで日本でも外国でも、ひとつとして同じ海辺がないことを実感。そして、これらからは今までよりもっと海の旅を楽しめる予感も。
このハワイの旅をきっかけに、海辺の「なんでもアリ」を求めて、せっせと家族で海外に出かけることになる。
![[←air BE-PALのTOPに戻る]](../share_img/logo.jpg)
